FC2ブログ

●ブルースとサイケのとある出会い〜Part 3●

今回は、Part 1とPart 2を書いている間に芽生えた疑問2点の解明を目指します!


◆謎の「Black Ghost (Blues)」について
この3枚組CDのDisc 1(本編、以降同様)には、「Black Ghost Blues」というボーナストラックが収録されていますが、これは一体どこからやってきたのでしょうか?というのが、「謎」というか疑問です。

Disc 2およびDisc 3のセッション集には、本編未収録の未発表曲も含まれていますが、その中に「Black Ghost Blues」はありません。従って、セッション#1で録音されたものではないことが判ります。

CDブックレットのセッション#2について書かれた情報の中に、次のような一文があります。
Untitled "Name It Later", Presumably Black Ghost Blues
直訳すると、「おそらく「Black Ghost Blues」と思われる名前のない”後で名付けられた”(曲)」(括弧内は筆者の補注)とでもなるのでしょうか。
この記述が正しければ、「Black Ghost Blues」は、セッション#2の時に録音されたものとなります。しかし、Part 2でも書いたように、セッション#2の音源は失われて存在しないはず。となると、この3枚組CDの発表された2014年の世界に、どこ経由で現れたのでしょうか?

その手がかりは、おなじくCDブックレットの本編収録内容について書かれた文の中にありました。
「Track 11(Black Ghost Bluesのこと): erroneous track from Epitaph For A Legend, IALP#13 1/2 master」(括弧内は筆者の補注)
またまた直訳すると、「トラック11:『Epitaph For A Legend』(IALP13番1/2マスターテープ)からの誤ったトラック」とでもなるのでしょうか?「誤った」の意味が何なのか、今ひとつ良く判らないのですが、とりあえず「Epitaph For A Legend」でググってみると、例によって、Discogsのこのページが引っかかりました。
見てみると、1980年にInternational Artistsレーベルから出された、レアトラック集のコンピ盤2枚組LPのようですが、その収録曲中にライトニンの「Conversation With Lightnin' Hopkins」と「Black Ghost」という2曲があります。どうやらここが出元のようです。
ちなみにこの2枚組LPは、『Never Eever Land』注1のブックレットに付いているアルバムディスコグラフィにも13番目の(そして最後の)アルバム、として掲載されています。

ということは、ここからは仮説になりますが、この『Epitaph For A Legend』がリリースされた1980年時点では、まだセッション#2のマスターテープが存在していて、そのマスターテープから収録されたのではないか?と思われます。仮説というか、そう考えないと理屈が合いません。

この『Epitaph For A Legend』、筆者は所有していないので、厳密には3枚組CD版の「Black Ghost Blues」と、『Epitaph For A Legend』版の「Black Ghost」が同一のものかは断定できないのですが、「Black Ghost」が収録されている盤は、もう2種類あります。その1つはPart 1でも出てきた、『Never Ever Land』注1というInternational Artistsレーベル音源の3枚組コンピ盤の3枚目に収録されています。もう1つは2003年にFuel2000という廉価盤再発レーベルから出された『Free Form Pattern』のボーナス・トラックです。
この「Fuel2000」版、筆者はかつて所有していたのですが、手放してしまいました。しかし、音そのものは、iTunesに取り込んで残っていました。また2003年に出された、という事実は、「流々浪々日記」の2003年10月26日の項に書いています。。その結果、3枚組CD版、『Never Ever Land』版、Fuel2000版の3つは基本的に同じものと確認できました。「基本的に」というのは、音質にかなりの差があるためです。3枚組CD版と『Never Ever Land』版については、多少『Never Ever Land』版が音悪いかな?という程度ですが、Fuel2000版は、テープが延びてでもいるのか、開始早々ぐおおぉんという感じでピッチが遅くなり、その後もややピッチが遅めなままです。明らかに別のテープを使ったものだと思っていいでしょう。じゃあ、その別のテープはどこから来たのか?という新たな疑問も出てきますが、これ以上のことはなんとも判りません。

ちなみに、『Epitaph For A Legend』およびFuel200版に収録されているもう1曲(ていうか会話ですが)、「Conversation With Lightnin' Hopkins」については、3枚組CDのDisc 3に収録されている「Conversation #1: Trouble In Crockett TX」と同内容でした。音質は逆にFuel2000版のほうがややノイズが少ないか?と言った程度の差はありますが。こちらはセッション#1中に含まれているので、1980年以降でも問題なく収録できたはずです。

ということで、「Black Ghost (Blues)」がどこから来たのか?という謎は解明されました(ということにしておきます)。

◆Fuel2000版「Mini Skirt」について
最初に、この記事を書こうと思ったきっかけは、オリジナル版の最終曲である、「「Mini Skirt」が大盛り上がりで、ベースかドラムかどちらかが叫びまくり、ライトニンもそれに答えて例の「デッヘッへ笑い」を聴かせる、というのが頭の中に残っていて、それが正に「ブルース」と「サイケ」が混然となった瞬間ではないか?と思ったからです。

ところが、3枚組CDを入手して、初めて聴いた時、「あれ?」と思いました。「Mini Skirt」は確かに盛り上がってはいましたが、誰かが叫んでいるというようなことはなく、ライトニンの「デッヘッへ笑い」も聴かれなかったからです。
最初は筆者の勘違いと言うか、思い込みだったのかと思いましたが、試しにiTunes上に残っていたFuel2000版の「Mini Skirt」を聴いてみると、やっぱり叫びまくりと「デッヘッへ笑い」が聴けるではありませんか!
3枚組CD版と、Fiuel2000版は、別のバージョンだったのです。

今回の3枚組CDのDisc 2に収録されている「Mini Skirt」が。その別バージョンか?と最初は思ったのですが、聴いてみた結果、Disc 1に収録されたものと同一でした。
Pert 2でも書いた通り、Disc 2およびDisc 3はセッションを完全収録したものではないので、3枚組CDに収録されなかった別バージョンがあった、という可能性はあります。

こうなると、「Mini Skirt」だけでなく、他の曲も別バージョンという可能性もありえます。そこで改めて両者を聴き比べてみた結果はこうなりました。

  1. Mr. Charlie 7:06:6:57 注2

    この曲については、同じものです。演奏時間に差があるのは、3CD版のほうは、演奏終了後の無音部分がやや長いためです。

    ただし、以降の曲全てですが、3CD版のほうが、オリジナルマスターテープからリマスタリングされているせいで、かなり音質が向上しています。


  2. Give Me Time To Think 3:51:3:44

    この曲についても、同じものです。ただし、Fuel2000版のほうは、エンディングのフェイド・アウトがかなり早くて、3CD版にはあった最後のギターの一鳴りが欠けています。収録時間の差もこのためです。


  3. Fox Chase 3:29:2:47

    この曲については、基本的には同じものですが、Fuel2000版の方には、出だしにビリーの台詞が5秒ほどあるのに対し、3CD版は台詞がばっさりカットされています。しかし、演奏終わりの部分は、逆にFuel2000版が早めに演奏途中でフェイド・アウトするのに対して、3CD版は無音部分3秒位まで収録しています。3CD版の方が演奏時間が長いのはこのためです。

    ちなみに3CD版のDisc 2に収録されている「Song #6: Fox Chase」には、本編にはない台詞部分も収録されており、結果的に一番演奏時間が長く(3:32)なっています。


  4. Mr. Dittas' Grocery Store 5:36:5:26

    この曲についても、基本的には同じものですが、Fuel2000版の方には、出だしにライトニンの台詞1秒位があるのに対し、3CD版のほうはこれもカットされています。しかし演奏終了部分が、これまたFuel2000版の方は早めに終わるのに対し、3CD版は無論部分まで収録されています。演奏時間の違いはこれによるものです。


  5. Open Up Your Door 3:58:3:53

    この曲については、同じものです。演奏時間もほぼ同じです。


  6. Baby Child 3:37:3:30

    この曲については、同じものです。演奏時間もほぼ同じです。


  7. Cookings Done 3:50:3:45

    この曲については、同じものです。演奏時間もほぼ同じです。


  8. Got Her Letter This Morning 5:00:4:54

    この曲については、同じものです。演奏時間もほぼ同じです。


  9. Rain Falling 5:04:4:31

    この曲については、基本的に同じものですが、最後の部分が、Fuel2000版は早めにフェイド・アウトで終わり、3CD版は演奏終了後の無音部分が数秒あります。演奏時間がかなり違うのは、そのためです。


  10. Mini Skirt 3:04:3:10

    さて、いよいよ本命のこの曲ですが、改めて両方を聴き比べて驚きました。これは別バージョンではなく、別の曲です!

    そもそも3CD版が、「Mo Jo Hand」をベースにした曲調なのに対し、Fuel2000版は「Baby, Please Don't Go」をベースにしています。逆に共通しているところを探すのが困難なくらいです。

    こうなると、どちらが本当の「 Mini Skirt」なんだ?という気もしてきますが、これは3CD版の中で、ライトニンが「Mini Skirt!」と叫ぶ箇所があるので、やはり3CD版が本物でしょう。Fuel2000版のほうは、故意か事故かは判りませんが、別の曲が混ざっている、というのが真相だと思います。まあ、厳密にはオリジナル・アナログ盤を確認してみないと判りませんが。

    実はこの記事で度々話題にしている、『Never Ever Land』注1にも、この「Mini Skirt」が収録されていますが、それも聴き比べた結果、Fuel2000版と同じでした。

    しかし、Fuel2000版の、似非「Mini Skirt」はどこから来たのでしょうか?世に出たのは、確認できたものではFuel2000版が2003年と一番早く、『Never Ever Land』版が2008年と後なのですが、前項で書いた通り、Fuel2000版は音質が悪い、というよりも明らかにピッチが狂っている箇所があり、『Never Ever Land』版がFuel2000版を元にしている、とは考えにくい状況です。それに関連して言えば、なぜ『Never Ever Land』はシングルでもない「Mini Skirt」を収録したのか?という問題も出てきますが...。


  11. Black Ghost Blues (Bonus Track) 3:31:3:47

    この曲については、前項ですでに取り上げており、同じものでした。ただ、演奏時間が、Fuel2000版のほうがかなり長いのは、全体的にピッチが遅いからだと思われます。


◆総括
ということで、幾つかの謎を残したまま、一段落しました。最初の構想では、もっとブルースとサイケの融合、というような面を書きたかったのですが、結果的には『Free form Patterns』の解説に終始してしまいました。
まあ、海千山千のライトニンVSヒヨッコのサイケバンドリズム隊では、もとより融合し合うはずがなかったのですが。せめてロッキー・エリクソンと共演していればあるいは...。

とタラレバの話をしてもしかたないので、今回の記事はこのへんで終わります。

                               了

注1.International Artistsから2008年にリリースされた『Never Ever Land 83 Texsan Nuggets From International Artists Records ~ 1965-1970 ~』(Charly SNAJ 735 CD)
注2.左右両方の時間表記は「3枚組CD:Fuel2000版」以降同様
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

freeflow

Author:freeflow
日々鬱病と未聴CDと戦いながらCD買い物依存症から抜け出せない、そんな奴です。

リンク
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR