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今日の消化本(6/10)

古川日出男『アラビアの夜の種族』(I)(II)(III)(角川文庫)






★★★★☆
古川日出男、畢生の大作。文庫本3冊、計1000ページを超えるという分量も凄いが、内容の方はもっと凄い。舞台は、ナポレオンによる侵攻の前夜のエジプトの首都カイロ。支配階級奴隷、アイユーブはそれに対抗するための手段として、ナポレオンに献上する奇書『災厄の書』の作成を企てる。かくして謎の語り手ズームルッドがその物語を語り始める…。
ということで本書はズームルッドの語る過去の物語と、現在時点のカイロの状況の叙述が並行する形で進む。明らかに『千夜一夜物語』を意識した構成だが、語られる物語もまた、『千夜一夜物語』に負けず劣らず奇想天外で流麗なもの。まず3人の登場人物の単独の物語が語られ、その後3人の運命が交錯するクライマックスに至る。
そうやって語られる過去の物語に比べると、現在の物語はやや必然性に乏しい。最後の最後で過去の物語と現在の物語がある意味つながるのだが、その部分がもうちょっと書き込まれていればなあと思う。五つ星まで後一歩。
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日々鬱病と未聴CDと戦いながらCD買い物依存症から抜け出せない、そんな奴です。

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