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☆2020年4月30日(木)に観た1枚☆

早いもので4月ももう終わりですねえ...。と黄昏れている場合ではないですね。それでは行きますよ。本日の1枚は〜
ルイジアナ・レッド『The Blues For Ida B Session』(JSP Records JSP5801)

です!ってCDじゃなくてDVDじゃねえかこれ。まあ「1枚」には変わりはないので、良しとしましょう。
激渋の極みで個人的に「極北のブルースマン」と呼んでいるルイジアナ・レッドのDVDです。まさかこの人のDVDが出るとはねえ〜。まあ、2012年発売ですから8年も前ですが...。
ちなみに「ルイジアナ・レッド」という芸名ですが、別にルイジアナ生まれということでもなく、ルイジアナで活動していた訳でもないようです。あと、ルイジアナ・"ギター"・レッドという芸名の人もいますが、ややこしいけど別人なんで気をつけるようにね。
観る前は、普通のライヴDVDかと思っていたのですが、実態はスタジオの片隅の方に座ってのスタジオライヴ。なんか、うらぶれた風情ですが、それもこの人にはよく似合う。なんだろうこの人のブルースは。完全に枯れた、という訳ではない。それでいて、感情や想いというものを感じさせない。その辺を「極北」と呼んでいるのですが。
11曲、50分余りのライヴですが、ほぼ1曲ごとにギター(アコギとエレキ2台)をとっかえひっかえします。更に渋いスライドギターを聴かせてくれますが、なんとスライドバー2種類(金属のパイプの奴と昔ながらのガラス製ボトルネック)使い分けていて、その上その2つを同時に使ったりもします(金属のは小指に、ガラスのは薬指に装着)。管理人は一切楽器というものをやらないのでよく判らないんですが、これって普通のことなんですかね?
まあ、結構録音は多い人なんで、それなりに人気はあったのでしょう。国内盤も、何枚かは出てたと思います。ちなみに管理人のミュージック・ライヴラリには15枚くらいのCDが登録されてます。結構買ってんじゃん。「見かけたら買う」的な1人です。しかしApple Musicには20枚くらい登録されてます。持ってないのも多い。またダウンロードして聴かねば。
ということで、なんかダラダラと適当に書いてきましたが、それもまたこの人にはよく似合う...てな訳はないですね。
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☆2020年4月24日(金)に聴いた1枚☆

次の日更新になってしまいましたが、どんどん聴いていきますよ〜。本日の1枚は〜
ジャック・マクダフ『Write On, Capt'n』(Concord Records CCD-4568)

です!
個人的にオルガン・ジャズ界三大J(ジミー・スミス、ジャック・マクダフ、ジミー・マクグリフ)の1人と呼んでいる(あくまで個人的に言ってるだけですよ〜)、ジャック・マクダフの1993年録音のアルバムです。6月3日〜4日に、ニュー・ヨークで録音された、とブックレットにはあります。
オルガン・ジャズ、個人的には結構好みです。まあ、オルガンの音が好き、というのもありますが、どっちかと言えばマイナーなサブ・ジャンルで、やってる人も少ない、というのも理由の1つです。ピアノとか、管楽器に手を出してしまうと泥沼ですからね(^^;。
”ブラザー”・ジャック・マクダフと呼ばれることも多いジャック・マクダフですが、このアルバムは「ジャック・マクダフ」定義。しかし裏ジャケと、ブックレットのメンバークレジットには、何故か「キャプテン・ジャック・マクダフ」と書かれてます。
何故にキャプテン?という理由は、ブックレットのライナーノーツに書かれているので、例によってスマホのOCRソフトで取り込んでGoogle翻訳したもの(この技は最近覚えた)を引用してみましょう。
地球上で最もグルービーなオルガン奏者である元「ブラザー」ジャックマックダフは、最近船長の地位に昇格しました。 「私は昇進した」とマクダフは笑う。 「ミュージシャンの組合は私にそれを与えるつもりはなかったようだった。それで私は会議を開いた。誰が会議に参加していたか知っている?私だけ」。
 適切なヨットマンの帽子をかぶった「キャプテン」ジャックマクダフが、彼の豊富なアレンジ、作曲、バンドリーダーのスキルを披露する焼夷弾アルバムで帰ってきました。

ジャック・マクダフは、Discogsのプロフィールに依ると、「1926年9月17日生誕」とのことですから、このアルバムの録音時66歳。バンドリーダーとして、みんなを引っ張って行く立場であることを認識しての、「キャプテン」発言でしょうか。
確かに、若い頃はB3ハモンド・オルガンをグルーヴィに鳴らして、ソウルフルなファンク・ジャズをやっていたマクダフですが、このアルバムでは少々おとなしめ。あくまで「キャプテン」として一歩引いた感じで、バンド(ホーン・セクションを入れたかなり大規模なもの)を率いているようです。
サウンドそのものも都会的なソフィスティケイテッドなもので、若い頃のぐねぐねとグルーヴする音が好きな人(=管理人)には、多少物足りない面はありますが、そこはキャプテンだけあって、船を操るのはお手の物。大波小波思うままに操っています。若い頃の怒涛のようなグルーブに比べると、本作でのゆったりとうねる振幅の大きいグルーヴ・サウンドもまた良いものだなあ、と思った1枚でした。
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●迷盤奇盤珍盤 第2回 謎の美女ジャケ!暗号解読せよ!!

ということで、意外に早く、第2回をお届けします。例によって大げさなタイトルがついてますが、気にしないで先へ進みましょう。

今回はぐだぐだ言う前に、ジャケ写を見てもらいましょう。
これです!↓

※クリックで拡大写真が見れます。
どうですか?少しとうが立ってる気もしますが、なかなかの美女ではないでしょうか(個人的好み入ってます)?
ちなみにブックレット裏には、若い頃の写真も載ってますよ〜。
いきなりジャケ写出したのは、アーティスト名も、アルバム名も、暗号で書かれているからです...な訳はないので、これはロシア語圏で使われているキリル文字という奴です。それは知ってますが、読み方までは判らない...。よく見ると、MだのaだのCだのeだの、英字でおなじみの文字もありますが、読み方まで同じとは限りません。全然知らん字も多いし...。
どこかに、英語で書かれた情報はないものか?表ジャケにはないのは既に見てのとおりです。裏ジャケもこんなです。ついでにCDのレーベル面までキリル文字オンリーです(めんどくさいので写真撮りませんでしたが、ブックレットの解説もキリル文字オンリーでした)わずかに裏ジャケの16曲目のところについてる吹き出しの「New!」というのが英語ですが、これだけではなんの手がかりにもなりません。

とりあえず、キリル文字を英字に変換したいので、それっぽいキーワードで検索すると、キリル文字をラテン文字に変換というサイトが見つかりました。自動変換機能もついてますが、そもそもキリル文字をどうやって入力したらいいのか判らない訳で...orz。
仕方ないので、とりあえずジャケ写一番下の、アーティスト名と思われる文字列を、対比表を見て変換してみます。
変換第1回結果
No.キリル文字英 字
1.
2.юju
3.
4.мm
5.иi
6.
7.аa
8.СS
9.еje
10.нn
11.цc
12.иi
13.нn
14.аa

ファーストネームの1番目と6番目の「A」から中線を抜いたような字と、3番目の英字の「g」っぽい字が変換表には見当たりませんでした。

仕方ないので、また色々と検索した結果、3番めの「g」っぽい文字の変換についてヒットしました。
Yahoo!知恵袋:キリル文字の斜体で、英語アルファベット、小文字のGに似た文字はありますか?
この結果、「g」に見えたものは、キリル文字斜体の「д」で、英字の「d」になることがわかりました。
変換第2回結果
No.キリル文字英 字
1.
2.юju
3.дd
4.мm
5.иi
6.
7.аa
8.СS
9.еje
10.нn
11.цc
12.иi
13.нn
14.аa


後は1番目と6番目の、「A」から中線を抜いたような字です。これは結構苦労しましたが、なんとか解答を見つけました。
RUSSIAN LANGUAGE, アルファベット・基本単語:ロシア語のアルファベット一覧をブロック体と筆記体で。
この結果、「A」から中線を抜いたような字は、キリル文字筆記体で、ブロック体に直すと大文字は「Л」、小文字は「л」に相当することが判りました。英字だと「L」と「l」になります。なんでブロック体の中に筆記体を混ぜるのか判りませんが、その方がかっこよく見えるからでしょうか?
変換最終結果
No.キリル文字英 字
1.ЛL
2.юju
3.дd
4.мm
5.иi
6.лl
7.аa
8.СS
9.еje
10.нn
11.цc
12.иi
13.нn
14.аa

これでアーティスト名のキリル文字表記と英字表記が解読できました!
キリル文字:Людмила Сенцина
英字:Ljudmila Sjencina


さて次は左下隅のアルバム名と思われるものですが、正直変換表を見てちまちまやるのはめんどくさくなってきました。ひとまず、判明したアーティスト名のキリル文字でググってみます。
結果、「リュドミラ・センチナ/Ljudmiia Sjencina」というロシア(ウクライナ)の結構有名な歌手だと判りました。
アルバム名の方ですが、そんな有名な歌手なら、かのDiscogsにあるのではないか?そこでとりあえずキリル文字の方で検索してみると...、ありました!さすがDiscogs!
Людмила Сенчина ‎– А Любовь Смеется И Поет
これでアルバム名の方も、キリル文字での表記が判明したので、↑に出てきた、キリル文字をラテン文字に変換というサイトで変換してみました。
А Любовь Смеется И Поет → A Ljubov Smjejetsja I Pojet
となりました。この変換結果をおなじみGoogle翻訳先生にかけてみましたが、「リュボフ・スムジェジェジャIポシェット」というカタカナでの読み方は出てくるものの、日本語そのものへの翻訳はしてくれませんでした。
次にOnline ロシア語 日本語 通訳というサイトで変換してみると、何故か日本語ではなく英語に変換されました→「And Love Laughs And Sings」。日本語にしてみると、「そして愛は笑い、歌う」とでもなるのでしょうか。

ということで、アーティスト名もアルバム名も判明して一件落着、というところで、そもそもこのCDをどうやって入手したのか?という事情を、流々浪々日記の該当するところ、2020年2月7日の項から引用してみると...、
(前略)それから第2ビルへ向かって歩くが、途中にDVDやらBlu-rayやらVHSやら売ってる店がある。中古品は少ししかないが、結構安いので中古品のみ漁るが、なにもなし。店外に置いてあったCDの投げ売りエサ箱を見てみる。(中略)もう1枚はこれが問題盤で、ジャケ写は金髪の中年美女が微笑んでいるものだったが、書いてある文言が全てキリル文字!わずかに16曲収録だが最後の1曲のところに「New!」とかいうロゴがあるのが唯一の英語。キリル文字って、AとかMとかBとかCみたいな見覚えのあるローマ字文字と(でも発音は全然違ってたりする)、全くなんと発音するのか判らない文字が混ざっていて、読めそうで読めないところがちょっと苛立つ。
どうしようか迷ったが、こちらも300円(税抜)だったので、ネタにもなるかと思って買ってみることに。しかし、おそらくはロシア(またはその周辺のキリル文字使用する国)内でしか流通してないと思える盤が、なぜ日本の、それも怪しげなDVD・Blu-ray店の店頭ワゴンに辿り着いたものか、その経緯が判ればなあ...。(後略)


■総括
さて、この盤ですが、一応聴いてみましたが、なかなか良質のポップという感じですが、「名盤」とまでは言えないという印象です。かと行って、変なところがあるわけではないので、「迷盤」とも言えませんね。「奇盤」というほど奇しいところがあるわけでなし(まあ、キリル語について全く何も知らない人が見たら怪しく思えるかもしれませんが...)。
結局、日記でも書いたように、なかなか見かけない、珍しい盤なのはまちがいないので、本来の意図とは異なりますが、「珍盤」と認定します!

※楽する方法
後から思いついたもっと楽する方法です。それは、最近流々浪々日記の4月19日の項に書いた、スマホのOCRソフトでスキャンすること。その時使ったOCRソフト、Textscanは、確か多言語対応してたはず。その中にロシア語があれば......ありました!ということで早速ジャケ写をスキャンしてみると、
Любовь
смеется
и поет
Людмила Сенчина
という結果でした。なぜかアルバム名最上段の「А」だけ読み取ってくれませんでしたが、後は正解っぽい。

※もっと楽する方法
更に楽する方法です。調査中、CDを一応、中身も聴いてみるか、ということで、iTunesじゃなかったミュージック.appに突っ込んでみる...あ、CDDBから情報取ってくるはずやん!さてキリル文字か、英字か?...
スクリーンショット_2020_04_22
英字でした...。ということで、今度は逆で英字からキリル文字に変換するところはないか?と思ってググったらありました。ローマ字キリル文字変換。ここで、CDDB上の英字からキリル文字に変換できます。

                            了
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☆2020年4月19日(日)に聴いた1枚☆

またまた1週間空いてしまいましたが、まだやりますよ〜。本日の1枚は〜
カンザス・シティ・キティ&ジョージア・トム『Complete Recorded Works In Chronological Order (1930 - 1934)』(RST Records/Blues Documents BDCD-6023)
です!
男女デュエットの録音ですが、男性のジョージア・トムというのは、後に改心して「ゴスペルの父」と呼ばれるようになる、トーマス・A・ドーシー師の若い頃の芸名ですね。カンザス・シティ・キティのほうも当然芸名ですが...あれ?下に貼ってあるジャケ写を見ると、写っているのは、ピアノを中腰で弾いているジョージア・トムだけで、カンザス・シティ・キティの姿はありませんね。
はてな?と思いながら、ブックレット(と言っても紙を二つ折りにしただけですが...)の解説を見ると、いきなり衝撃的なことが書いてあります。
「The only certainty about "Kansas City Kitty" is that she never existed. (「カンザス・シティ・キティ」について唯一、確実なことは、彼女が存在しなかったことです。)」
それは一体どういうことなのか?解説を読もうとしましたが、私の貧弱な英語力では、今ひとつはっきりしません。こういう時の力技で、スマホのOCRソフトで解説文を撮ってテキスト化し、それをGoogle翻訳にかけました。その結果、「仮名(カンザス・シティ・キティのこと。筆者注)は、1930/31年にVocalionによって、主にホクムの素材を「ジョージアトム」ドーシーとのデュエットで録音した歌手または歌手に適用されました。 1934年、この名前はビクターのブルーバード子会社によって、異なる伴奏を伴うソロボーカルセッションに再利用されました。両方のグループのレコーディングがこのディスクに含まれています。」とあります。つまり日本アニメ界の「矢立肇」みたいに、複数の人物が「カンザス・シティ・キティ」という芸名を使って録音していたらしいのです。確かに、このCDの最後の4曲(1934年録音分)を聴くと、それ以前とは声が違って聴こえます。
では、「カンザス・シティ・キティ」を演じてた本当の女性は誰だったのか?解説(のGoogle翻訳)を読んでみたのですが、今ひとつはっきりしたことはわかりません。ジョージア・トムこと、トーマス・A・ドーシー師は、後のインタビューで、「モゼル・アルダーソン」や「ジェーン・ルーカス」と言った名前を上げていますが、別なところには、その2名の名前もまた芸名であったらしいことも書かれていて、どうも真相は藪の中らしいのです...。
まあ、複雑な事情は置いといて、このCD、戦前の鄙びた感じがなかなかいいです。そもそも、「カンザス」という地名が鄙びた、田舎を連想させるものらしいのです。なんだか、複雑な背景を持つ1枚でしたが、カンザス・シティ・キティはともかく、ジョージア・トムのヴォーカルとピアノは本物で、そして聴く価値があります。

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●迷盤奇盤珍盤 第1回 シャーリー・バッシー、大いにジェームス・ボンドを唄う Part.2

前回までのあらすじ:
それは某市のブックオフの投げ売り棚から発見されたいかにも安っぽい1枚のCDだった。「シャーリー・バッシー?007のテーマ曲を全部?...おもしろそうなCDじゃないか」彼はそのCDをレジへ持っていった。そこからこの物語は始まる...。


なんか変なあらすじから始まりましたが、いよいよ実際にCDを聴いてみての感想を書いてみたいと思います。
『シャーリー・バッシー 映画007テーマ曲集/Shirley Bassey Sings Bond』(輸入元:蝶理株式会社 発売元:キープ株式会社/Tring International KA-011)

  1. 美しき獲物たち/View To A KilI (オリジナル:デュラン・デュラン)
    それでは1曲目聴いてみましょう...てうわなんだこれ!ドラムはバリバリの打ち込み。そこにのっかるシンセ音のまた安っぽいこと。「チープ」というより「プアー」と言ったほうが的確な表現でしょう。
    それでもバックの音楽だけ聴いている分にはまだなんとかならないでもない(おそらく限度まで限られた資金と時間なりには奮闘している)のですが、そこへシャーリー・バッシーのヴォーカルが入ってくるともういけません。シャーリーはいつもどおり、情感を込めて歌い上げますが、それはバックの音とはまさに水と油。かえって安っぽさが全面に打ち出されてしまいます。
    それでも、サビの部分での熱唱はさすがにシャーリーで、一瞬、バックの音の存在を忘れさせてくれます。う〜ん、アカペラで聴いたほうが何百倍もマシだなあ...。
    ということで嫌な予感しかしませんが、2曲目へ行きます...。

  2. 私を愛したスパイ/Nobody Does It Better (オリジナル:カーリー・サイモン)
    ということで、これも酷いです。1曲目の「美しき獲物たち/View To A KilI」は、オリジナルのデュラン・デュランの曲がそもそもシンセ音が主体で(もちろん同じシンセでも雲泥の差がありますが)まだしもだったのですが、このカーリー・サイモンが優しく唄うオリジナルは、基本アコースティックでオケも入る演奏(2箇所ほど、当時流行りだったシンセ・ドラムが使われてますが)。シンセで同じ音にするのは根本的に無理があります。
    シャーリーは、この曲ではオリジナルのカーリー・サイモンにならって、あまり声を張らずに、穏やかに歌っているのですが、それこそ猫に小判、どうしても、安っぽいバックの演奏に耳が行ってしまう...。
    なんとか、バックの演奏だけ省いて、アカペラにできないものか...。

  3. ロシアより愛を込めて・007危機一髪/From Russia With Love (オリジナル:マット・モンロー)※1
    ということで3曲目。まずオリジナルの方から聴いてみたのですが、バックは基本オケ。なかなか豪奢なアレンジです。で、このCDの方ですが、もはや編曲家も演奏者も、オリジナルと同じ(よう)にすることは諦めてしまったのでしょうか。一歩引いた演奏に終始してますが、かえってその分ましなような...。
    シャーリーの歌は安定してますが、さすがにやる気が失せてきたのか、ラスト、オリジナルのマット・モンローが高らかに歌い上げている部分も、イマイチ力が入っていないような気がします...。

  4. 愛はすべてを越えて(女王陛下の007)/We Have The Time In The World (オリジナル:ルイ・アームストロング)※2
    さて、4曲目のこの歌。オリジナルでは格調あるオケの音をバックに、サッチモがあの独特の節回しで歌うわけですが、このCDでは、ここへ来て何をトチ狂ったのか、オリジナルとは全く編曲を変えて、しかもそれが謎のレゲエ風だって言う...。
    多分シャーリーも歌いにくかったんでしょうね。もともと、サッチモに対抗するのはかなりの力技がいったはず。どちらかと言えば平坦な、メリハリの効いていない歌になってしまってます。

  5. 007は二度死ぬ/You Only Live Twice (オリジナル:ナンシー・シナトラ)
    オリジナルは、007映画テーマ曲では個人的に好きな曲です。イントロのヴァイオリンの高音がたまりませんな。
    で、このCDですが、前の曲のレゲエ調アレンジにはさすがに反省したのか、まともになってます。まともと言っても、オケのヴァイオリンにはかなうはずないので、うまくごまかしてます。その辺が段々腕が上がってきてます。とはいえ、シャーリーのヴォーカルと水と油という構図はまったく変わりませんが。
    シャーリーの熱唱は、どちらかといえば平板な歌い方のナンシー・シナトラに比べると、いい感じです。個人的にもうまく歌えた感があったのでしょうか、この歌には後日談があります。それは補足3で。

  6. ダイアモンドは永遠に/Diamonds Are Forever (オリジナル:本人)
    初のオリジナルも歌ってた曲です。オリジナルに比べると、ややテンポ遅い感じです。ここへ来て、バックの面々も少しコツを掴んできたのでしょうか。チープさは変わりませんが、なるべくシャーリーのヴォーカルを邪魔しないようなアレンジになっています。

  7. 死ぬのは奴らだ/Live And Let Die (オリジナル:ポール・マッカートニー&ウィングス
    これもいい曲ですね。やや平坦な歌い出しから、サビの部分で爆発して、その後ぐっとテンポアップする、そのあたりがいかにもポール・マッカートニーだなあ、という気がします。
    このCDでは、とりあえずなんとか原曲に近づけようと、編曲家も演奏者も頑張っている感じはします。しますが、残念ながらあまり成功しているとは言えません。シャーリーの歌も、いつもどおりの情念こもった歌ですが、やや肩に力が入り過ぎ、という感じもします。ポールのいい力の抜け具合と比べると、ですが。

  8. ムーンレイカー/Moonraker (オリジナル:本人)
    2曲目のオリジナルも歌ってた曲です。オリジナルでは、バックの演奏はやや引いた感じでしたが、このCDでは一歩前に出てます。って、ヴォーカルより目立ってどうする、てツッコみたいところです。
    シャーリーの歌は、オリジナルとあまり変わりませんね。まあ、同じ人が歌っているから当たり前といえば当たり前ですが...。

  9. ユア・アイズ・オンリー/For Your Eyes Only (オリジナル:シーナ・イーストン)
    この曲も1曲目のデュラン・デュランと同じく、オリジナルがシンセ・ベースの曲なので相性は良い...と思ったのですが、そうでもないようで、なにかオリジナルの逆を無理に行こうとして道を外れている感じです。素直にオリジナル通りに演奏していれば、もう少しなんとかなったのではないか?と思えます。
    シャーリーのヴォーカルはさすが経験を積んでるだけのことあって、シーナ・イーストンとは比べ物になりませんね。シーナ・イーストンも、単体で聴くとけっして悪い歌手ではないと思うのですが、相手が悪すぎです。

  10. オール・タイム・ハイ(オクトパシー)/All Time High (オリジナル:リタ・クーリッジ)
    オリジナルは、いきなりサックスから始まる、というどう考えてもシンセで再現できるはずないというものでしたが、それについては編曲家も諦めたのか、オリジナルとはかなり異なる編曲をしていて、結構頑張ったほうではないか、と思えます。でも、チープなシンセ音がそれを台無しにしているわけで、もう少し金と時間をかけていれば...てこれはすべての曲に言えることですが...。
    ヴォーカルの方は、割と素直な歌い方をするリタ・クーリッジに比べると、シャーリーは情念たっぷりに歌い上げていて、これはこれで魅力的です。

  11. サンダーボール大作戦/Thunderball (オリジナル:トム・ジョーンズ)
    オリジナルは、かなり豪奢というかやかましいオケがバックで、下手な歌手ではバックに埋もれてしまいそうですが、そこはさすがにトム・ジョーンズ、バックのやかましさに負けない力の入った歌唱力を見せつけてくれます。
    対してこのCDでは、バックの面子はまたしてもどうせ敵う筈もないのに、オリジナルを再現しようとしていて、当然ながら失敗しています。
    シャーリーのヴォーカルは、トム・ジョーンズに負けない力入ったもの。この2人のデュエットしてるところ、見たかったなあ...と思って検索したら、別曲ですがありましたよYouTubeに。なんでもあるなあ>YouTube

    削除済みだったらごめんなさい。

  12. ゴールド・フィンガー/Goldfinger (オリジナル:本人)
    さて、いよいよラストの1曲です。私はシャーリー・バッシーと言われると、真っ先にこの「ゴールド・フィンガー」が浮かんでくるのですが、大トリに持ってきたところを見ると、本人も自分を代表する曲、と思ってたのでしょうかね...。
    オリジナルのバックは、かなり起伏に富んだ激しいもので、これをドラムとシンセだけで再現するのは到底無理...と思ってたら、案の定えらく大人しいものになってしまいました。シャーリーのヴォーカルがあるからなんとか最後まで保った、という感じですね。最後の最後がこんな終わり方では寂しすぎます...。


※1...オープニング・テーマ曲ではなくエンド・タイトル曲
※2...オープニング・テーマ曲ではなく挿入歌

■総括■
まあ、聴く前から大体予想はしてましたが、案の定、チープなバックの編曲と演奏がシャーリー・バッシーのヴォーカルの足を引っ張る、という結果になってしまいました。
そんな訳で、このCD聴いての感想はイマイチ、というよりネガティヴなものに(シャーリー・バッシーのヴォーカルは置いといて)ならざるを得ません。
ここは、きちんとお金と時間と手間をかけて作っていれば、名盤になったかもしれないのに、なりそこねた、ということから、名盤ならぬ迷盤、と認定したいと思います。

補足1
そういう訳で、このCDの音源の出来の悪さについては、おそらくシャーリー・バッシー側もそう思ったのでしょうか。いったんこの音源の発表は見送られます。しかし後日シャーリー・バッシー側の許可なく発売されてしまい、結果的に裁判沙汰にまでなります。
その辺の事情は、英語版ウィキペディアの「Bond Collection」という項にまとめられていますので、Google翻訳で日本語にしたものを引用してみます。

1987年の初めに、バッシーはジェームズボンドのテーマのアルバムを録音することを計画していたと発表しました。 このアルバムは、No.Dr。の25周年を記念して1987年にリリースされる予定でした。彼女は、1987年5月3日にテレビ番組「Live At The Palladium」でプロモーションし、「A View to a Kill」と、 ジェームズボンドメドレーを行いました。

Basseyは、理由がはっきりしないままアルバムをリリースしないことに決めました(レコーディングの品質に満足していなかったと考えられています)。 しかし、5年後のアルバムは、1992年9月20日にICON RecordsのレーベルからThe Bond Collectionとして、1994年1月10日にTRING RecordsからBassey Sings Bondとしてリリースされました。 Basseyは法廷で訴訟を起こし、1995年5月5日、アルバムの今後の製造または販売を阻止するため、Icon Entertainmentに対して永久的な差し止め命令が出された。 既存の売れ残りのコピーはすべて販売を中止され、CDは現在欠品しています。(後略)


という訳で裁判ではシャーリー・バッシーサイドが勝訴して販売差し止め、在庫品の回収まで行われた訳ですが、ではなぜこのCDが存在しているのでしょうか?

1つ注目したいのは、上の引用文を見る限り、差止命令が出されたのは、Icon Entertainmentに対してで、TRING Recordsについては記述がありません。何故そうなったかは不明ですが、TRING Recordsについては、差し止め命令が出なかった、またはもともと訴えられていなかった、という可能性があります。

もう1つは、TRING Recordsが出した、『Bassey Sings Bond』と、今回のCD、『Shirley Bassey Sings Bond』は別物だということです。『Bassey Sings Bond』について、Discogsで検索してみると、出てくるのはこれです。今回のCDとはジャケ写が違いますね。内容については同じものだと思いますが。
今回のCDには、発表年が記載されていないので、いつ頃出されたものかは判らないのですが、遅くとも1996年には出されていたようです。というのは、今回の記事とだいぶん内容がダブっている(マネした訳ではありませんよ。Part 1を書いた後に発見したのです)、『勝手にシドバレット(1985-1995のロック、etc.)』というサイトの「シャーリー・バッシーの珍品CD」という記事が書かれたのが1996年だからです。
『Bassey Sings Bond』(もう1度おさらいしておくと今回のCDは『Shirley Bassey Sings Bond』ああ、ややこしい)は、上の引用には「1994年1月10日にTRING RecordsからBassey Sings Bondとしてリリースされました。」とあるので、その2つを考えれば、1994年1月11日〜1996年の間に出されたものであることは確かです。
その間最大3年弱、「ほとぼりが冷めた頃に出した」にしては短すぎるような気がします。

ちなみに発売元であるキープ株式会社には商品一覧のPDFが公開されてますが、その中にはこのCDはありませんでした。
また輸入元である蝶理株式会社は、ググるとヒットしますが、どうもCDの輸入などをやっている会社ではないようです。併記されている電話番号も現在はどこも使っていないようです。
ということで、このCDが何時頃どのような経緯で再発されることになったかは今の所不明です。

補足2
Part 1で、
ちなみに、
・『007 サンダーボール作戦』 (1965年)
・『007 慰めの報酬』 (2008年)
でも主題歌候補に上がっていたものの、落選したとのことです。

と書きましたが、その『007 サンダーボール作戦』の落選した幻の主題歌ですが、「Mr. Kiss Kiss Bang Bang」という曲で、驚くべきことにシャーリー・バッシーの他にディオンヌ・ワーウィックも歌っており、二人揃って落選したことになります。なんてもったいない...。まあ、その二人を蹴落として当選したのが、かのトム・ジョーンズですから、仕方のないところですね...。
ちなみにこの「Mr. Kiss Kiss Bang Bang」という曲ですが、007映画の30周年を記念して出された、『The Best Of James Bond 30th Anniversary』という2枚組のCDの2枚目に、シャーリー・バッシー版、ディオンヌ・ワーウィック版ともに収録されています。シャーリー・バッシー版はYouTubeにもありましたので貼っておきます。

削除済みならごめんなさい。

補足3
『007は二度死ぬ』のテーマ曲「You Only Live Twice」は、このCDでも歌われています。結果的にはシャーリー・バッシー側が裁判を起こしてCDの発売差し止めに至る訳ですが、そのまま葬り去るには惜しい、と思ったのでしょうか、バックの演奏は新しい(まともな)ものに差し替え、ヴォーカルのみこのCDに収録されたものを使って、リメイクされています。
収録されているのは、『Get the Party Started』(2007)というアルバムで、このアルバムは、シャーリー・バッシーの過去の曲のセルフ・カヴァー的なものなので、ここで出し直そう、と思ったのかも知れません。
これもYouTubeにありましたので貼っておきます。

削除済みならごめんなさい。

                         了
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☆2020年4月12日(日)に聴いた1枚☆

ちょっとサボってしまいましたがまだまだ聴いてゆきますよ〜。ということで、本日の1枚は〜
ラテン・サイケデリアというジャンルを紹介したコンピ盤『The Rough Guide To Latin Psychedelia』...ではなく、それのボーナスディスクとして付いている〜
ロス・デステジョス『The Rough Guide To Los Destellos』(World Music Network/Rough Guide RGNET1291CD)
です!
日本ではそれほどメジャーなバンドではないロス・デステジョスですが、結成は1960年代末期と古く、1980年に1度解散しますが、1996年に復活し、その後も現在まで数枚のアルバムを出しています。その総数は約20枚!歴史あるバンドなんです(と今日初めて知った(^^;)。
その音楽は、流石に20年以上の歴史から編まれたベスト盤ということで、なかなか一口では説明しずらいものがありますが、基本は南米のバンドらしい、多彩なパーカッションと分厚いベース。それにギターが乗るのですが、ギターはもろサンタナだったり、サイケっぽいワウ・ギターだったりします。基本はインストですが、曲によってはヴォーカル(というより叫び声?)が入ったりもします。曲調のほうも、やたら元気のいいハイな曲あり、ちょっと物悲しい感じのものと様様です。
Apple Musicを見ると、アルバム8枚、ベスト盤1枚が登録されているようなんで、ここしばらくは聴き倒すつもりです。
しかし、このバンドも、あくまで『The Rough Guide To Latin Psychedelia』のおまけでついてたから知ったのであり、その『The Rough Guide To Latin Psychedelia』を買うきっかけも、南米ラテン・ファンクバンド、ブラウンアウトが参加している、そのためだけだったり(それ以外のバンドは聞いたこともなかった)、それでもって、ブラウンアウトを知ったのも、近年ブラック・サバス(!)のトリビュート盤を2枚も出したことからだったり、とブラック・サバスからロス・デステジョスまで、まさに時空を越えたジャンプが可能なのも音楽の世界ならではですなあ。
ということで、すっかり脇へまわってしまいましたが、メインである『The Rough Guide To Latin Psychedelia』も素敵な曲がいっぱい収録されているのでお勧めですよ。残念ながらApple Musicにはないようですが、amazonでは結構安く買えます。

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☆2020年4月2日(木)に聴いた1枚☆

月も変わりましたがまだまだ聴いていきますよ〜。ということで、本日の1枚は〜
スペックルド・レッド『Blues Masters Vol.11』(Storyville STCD8011)
です!
そもそもこの1枚、買ったのはだいぶん昔。今はなき日本橋の大十の1階の棚の最下段の隅っこに隠れていたのを発掘したのです。でも、なんとなく聴くチャンスを逃してしまい、今に至るまでCD棚に熟成させていた次第。
で、あんまり期待せずに聴いたんですが、これがいい!スペックルド・レッドの渋いヴォーカルもピアノもいいんですが、なによりいいのは、曲間のスペックルド・レッドのおしゃべりをカットせずそのまま収録しているところ。
つまり、セッションの初めから終わりまで、テープを止めることなく回し続け(これはまあ普通かな?)、それを編集しないで(いや実はしているのかも知れないけどそんな風には聴こえない)そのままアルバムにしてしまっているところ。
おしゃべりの内容は、自分自身についてだったり、次にやる曲の予備解説だったり、逆に今やった曲の解説というか、反省だったりと様々ですが(私の拙い英語ヒアリング能力でなんとかこんなこと話してるんちゃうやろか?という程度の理解ですが)、それが曲と曲との間のいいアクセントになってる!
日本でもライヴのMC部分だけがCDになっているSSWがいると聞きますが、このスペックルド・レッド親父のMC(ていうよりやっぱり「おしゃべり」だな〜)もなかなかなもんです。このスペックルド・レッド、戦前から活躍してたみたいですが、この録音は、Discogsに拠れば1960年コペンハーゲンでの録音とのこと。当時68歳、まあブルースマンとしてはいい具合に枯れてきている、絶好のコンディションではないでしょうか。
このCD、amazonでもまだ売ってますし、Apple Musicにもありますので、興味を持たれた方は是非。

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日々鬱病と未聴CDと戦いながらCD買い物依存症から抜け出せない、そんな奴です。

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